【初心者必見】革の加工と仕上げの基本を解説

【初心者必見】革の加工と仕上げの基本を解説
  • スエードやヌバックはどんな加工をしているの?
  • 加工と仕上げってなに?
  • 水染めやアニリン染めってどんな特徴があるの?

こんな疑問を持った経験ないでしょうか。

革は加工段階で起毛させたり、仕上げ段階で染料で染めることで革の種類が変わります。

なぜなら、鞣し工程で革を加工、仕上げ処理をすることで革の表情を変えたり革の魅力を引きだすことができるからです。

この記事では革製品を17年愛用している私が、加工と仕上げについて解説します。

この記事を読むと加工、仕上げの種類がわかるだけでなく、それぞれの特徴まで理解できます。

結論は使用目的にあった加工、仕上げの商品選びをすることです。

革の加工、仕上げとは?

鞣しの最終工程で行われる加工と仕上げ、この二つの工程を行うことで革は完成します。

加工とは?

起毛革

鞣し工程のひとつで加工することで風合い、模様などをほどこし防水や耐久性をあたえます。

具体的には、

  • 型押し
  • 表面を削る(バッフィング)
  • シワをつける

などです。

仕上げとは?

仕上げも鞣し工程で最終段階に行い革の色や表情を変化させます。

具体的には溶剤や水を溶媒として、

  • 染色
  • 着色
  • 塗膜

をおこないます。

見た目や表情が変化することが最大の特徴です。

加工、仕上げでどう変わる?

加工した革の写真

加工、仕上げを行うことで革はどのように変化していくのでしょうか。

加工と仕上げの違いは?

加工も仕上げも鞣しの最終工程でおこなわれる重要な工程になります。

当サイトでは、わかりやすく解説するため「加工」と「仕上げ」に分けて説明しています。

ですが、加工と仕上げを大きく選別せず最終仕上げとしたり、加工の最終工程で仕上げとしたり表現方法はさまざまです。

筆者なりの理解の上、説明している点をご理解ください。

なぜ加工や仕上げが必要?

なぜ加工や仕上げが必要か、その効果をまとめました。

  • 革の魅力を最大限に引き出す
  • キズなどを目立たなくしムラを均一化する
  • 耐久性や耐水性をつける

製品の使用目的にあった革に仕上げるため重要な工程になります。

種類と特徴一覧

加工と仕上げの種類、特徴代表的な加工と仕上げの種類と特徴を一覧にしました。

加工種類一覧

ヌメ革牛革を植物タンニン鞣しした革、無染色。
型押し表面をプレスで型をつけた革。エキゾチックレザーの型が多い。
銀付革革の銀面(表面)模様をそのまま活かし染色した革。
床革厚い皮を分割した銀面(表面)のない肉面(裏面)側の革。
ガラス張り革乾燥工程でガラスや金属板で乾燥させ、銀面(表面)を軽く削り塗装した革。銀面(表面)がきれいに均一になる。
ヌバック革の銀面(表面)をバフィングし起毛させた革。スエードよりも毛足が非常に短い。
スエード革の肉面(裏面)をバフィングし起毛させた革。仔牛、山羊、羊などでつくられる。
ベロアスエードと同じだが、成牛革を使用した革。
シュリンク鞣し工程で薬品などにより革を収縮させ模様をつけた革。
バックスキン鹿革の銀面(表面)を除去しバフィングにより起毛させた革。スエードと間違われることが多い。
オイルレザーオイルやロウを浸み込ませた革。耐水性や柔軟性がありつやが出てエイジング効果が高い。

主な仕上げ一覧

塗膜形成による分類

素上げ
仕上げ剤や着色を使用していない状態。
アニリン仕上げ
銀面(表面)模様を生かすため透明度の高い塗膜で仕上げた状態。アニリン染料を使用するが顔料と合わせて使うセミアニリン仕上げもある。
顔料仕上げ
顔料を使用し厚い塗膜で仕上げる。必然的に透明度は低くなるが、キズを隠し均一な着色ができる。カバーリング仕上げとも呼ばれる。厚い塗膜により耐水性も強くなる。

仕上げ剤による分類

カゼイン仕上げ
タンパク質を主原料としたカゼインにオイルやワックスなどの染料を混ぜ仕上げ剤として使用する。高級革の銀面(表面)を生かす仕上げ。
エナメル仕上げ
ウレタン樹脂の一種を使用し光沢を出す仕上げ。パテント仕上げとも呼ばれる。

機械処理による分類

グレージング仕上げ
カゼインやワックスを塗布しガラスやメノウで摩擦し革を仕上げる。爬虫類の革にもよく使用される。
プレート仕上げ
塗装後、アイロンで熱と圧力を加えることでツヤと滑らかさを出す仕上げ

仕上げはこの他さまざまな仕上げ方法があり、代表的な仕上げを解説しました。

本革と合皮はどう違うのか?

加工と仕上げについてくわしく解説してきました。

本革と合皮の違い

合皮

本革は、天然の動物の皮を使い多くの鞣し工程を経て製品になります。

合皮は、近年技術の向上によ繊維や樹脂を加工することで表面上天然の革と見違えるほど近い素材になりました。

二つの大きな違いは、合皮は製造した時点が完成品であり使用していくと劣化が始まります。

革は製品として完成していても、繊維として完成するにはまだ時間がかかります。

購入したあとも繊維として完成するまでユーザーが使用していくことで変化を楽しむことができます。

これが経年変化(エイジング)です。

エイジングは、まったく同じになることはなくお手入れする人によってさまざまな変化をもたらします。

愛着をもってお手入れすることで自分だけの革に変化します。

日々のお手入れについて詳しく知りたい方はこちらの記事をチェックしてください。

【初心者でも簡単】革財布のお手入れ方法をわかりやすく解説

まとめ:特徴を知りましょう

改めて記事をまとめます。

この記事では、革の加工と仕上げについて解説しました。

この記事のまとめ

・加工は、風合い・模様をつけ、防水性や耐久性があがります。

・仕上げは、革の色や表情を変化させます。

・加工・仕上げを行うことで、革を均一化し耐性をつけ魅力を引き出します。

・加工・仕上げの種類により特徴も異なります。

製品にあった加工、仕上げはとても重要な役割を担っています。

目的にあった革製品を手に入れるためにも特徴を理解し革選びをしましょう。

この記事は、

日本皮革産業連合会 様

日本皮革技術協会 様

一般社団法人 日本タンナーズ協会 様

のサイトを参考にさせていただいています。